子どもの教育。
それはその人の一生を決めると言っても過言ではない、と伊奈香澄は常々思っています。
子どもの頃に感じたことは強烈で、その後の人生にも大きく影響します。とくに幼児期に感じたことは、顕在的か潜在的かに関わらずその人の人格形成に大いに影響を与えると思っています。
この記事では国際的な教育プログラムである「国際バカロレア」について書かれた書籍『世界で生きるチカラ 国際バカロレアが子どもたちを強くする』のあらすじを紹介し、書籍から学んだこと(読んで感じたこと)を解説します。
幼少期から国際バカロレアの教育を受けさせたいと思っているママやパパは、ぜひ最後まで読んでみてください。
『世界で生きるチカラ 国際バカロレアが子どもたちを強くする』のあらすじ
はじめにこの書籍のあらすじを紹介します。章立ては次のようになっています。
- PART.1 2018年、日本の教育が大きく変わる
- PART.2 本当の「世界で生きるチカラ」とは
- PART.3 教育会の黒船「国際バカロレア」とは?
- PART.4 世論を動かせ!〜子どもたちのために私たちができること
この書籍が発売されたのは2014年のこと。そのため、情報が少し古い部分はありますが、国際バカロレアを大まかに理解するには問題ない内容だと思います。
書籍の中ではセンター試験廃止など日本の教育会における大改革(PART.1)、これからの世の中で求められる人材(PART.2)、国際バカロレアの概要と導入事例(PART.3)、国際バカロレアを日本で広めたるために重要なこと(PART.4)などが語られています。
正直、伊奈香澄を含めて日本的な学校教育(先生が児童・生徒に対して一方的に講義する)しか受けたことのない人にとっては、衝撃的な教育プログラムです。
ただ、同時に感じるのは「この教育を子どもの頃に受けていたら、社会に出たときに感じるギャップはもっと少なかったかもしれない」ということ。
言われてみれば当たり前かもしれないけど、これまで受けてきた「学校教育」のやり方が当たり前だと思っていた。
このように感じざるを得ない内容でした。
「国際バカロレア」の概要
読者の中には「国際バカロレア」という言葉ははじめて聞いた人もいるかもしれません。
引用を踏まえて簡単に説明します。
国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)は、1968年、チャレンジに満ちた総合的な教育プログラムとして、世界の複雑さを理解して、そのことに対処できる生徒を育成し、生徒に対し、未来へ責任ある行動をとるための態度とスキルを身に付けさせるとともに、国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を与え、大学進学へのルートを確保することを目的として設置されました。
文部科学省 IB教育推進コンソーシアム「国際バカロレア(IB)について」 https://ibconsortium.mext.go.jp/about-ib/
要するに、国際社会に通用する人を勉学の面からも道徳の面からも育成しようという教育プログラムです。
このような目的達成のためのプログラムは、年齢別に四つの区分に分かれています。
- PYP(Primary Years Programme):3歳〜12歳(日本でいう幼稚園〜小学校に相当)
- MYP(Middle Years Programme):11歳〜16歳(同様に小学校高学年〜中学校に相当)
- DP(Diploma Programme):16歳〜19歳(同様に高校生に相当)
- IBCP(Career-related Programme):16歳〜19歳(DPと同様)
DPとIBCPは年齢区分としては同じですが、前者は大学への進学を前提としており、後者は高校卒業後の就職を前提としています。
国際バカロレアの教育の目的はあくまでも「国際社会に通用する人材」を育てること。大学はそのためのツールの一つであり、大学進学を必須とは考えていません。
そのため、MYPのあとはDP(大学進学の準備)とIBCP(就職の準備)と同じ年齢区分でコースが分かれるのです。(DPもただ、大学に進学するのではなく、その後の就職を見据えたものです。)
そして、日本の教育との一番の違いが、個人の探究心や他の人との強調を大切にすること。
日本の学校では、先生が生徒・児童に対して一方的に講義をします。
しかし、国際バカロレアでは先生はあくまでもファシリテーター(アドバイザー)。
予めテーマは決まっているものの、児童・生徒は自ら知りたいと思うものを見つけて文献等を調べ、調べた結果を共有(発表や協議)して、結論を導くというスタイルなのです。
この時、先生は理解のためのヒントを示したり、大幅な脱線を防ぐサポートをしたりしますが、決して一方的に答えを教えるようなことはしません。
これが、従来の日本の学校と教育と大きく異なる点なのです。
香澄娘にはどのような人間なってほしいか?
娘には立場や年齢、国籍や性別に関わらず広い視野と多くの視点(着眼点)を持った人になってほしいと思います。
自分の考えをしっかり持ち、それを他の人に正確に伝えられる。
その一方、他の人の意見を一旦そのまま受け入れ、知らないことは分かるまで自分で調べる。(あるいは知っている人にきく)
このような当たり前のことを当たり前にできる人間になってほしいと思います。
これ、文字で書くのは簡単ですが、意外に大人でもできていない人が多いのではないでしょうか?
伊奈香澄も自分の考えを持つところまでは自信がありますが、それ以降についてはまったく自信がありません。
また、一生学び続ける姿勢を貫いてほしいと思っています。
人は何歳になってもこの世のすべてを知ることはできず、自分より年配の人はもちろん若い人から学ぶことも多くあります。
年を重ねても驕らず偉そうにせず、一生何かを探求する心を持っていてほしいと思っています。
香澄娘のために親ができることは何か?
それでは、上記のような人間に育てたいと思っている親がすることは何でしょうか?
親がその姿勢を見せることだと思っています。
とくに香澄娘は「とても頑固」という性格の特徴もあり、言葉だけで教えられてもいまいち納得しません(伊奈香澄も頑固なので気持ちはわかります)。
そして、そのような性格の人間に一番良い教育方法は先人(伊奈香澄と香澄妻)が、見本を見せることだと思っています。(自分に置き換えて考えると納得できます)
伊奈香澄も香澄妻も、新しいことや今まで知らなかったことに興味を持っては、自分で調べたり人から聞いたりしたことを会話の中で共有しています。
また、(香澄妻の方がうまいですが)相手のバックグラウンドや性格を尊重して、お互いの意見を素直に聞こうとしています。
そして、会話には必ず「議論の要素」が含まれていればなお良いと思っています。
「なぜ、そのように思ったのか?」、「なぜ、そのようにしたいのか?」、「どのようにすれば、より良くなるのか?」などなど……。
もちろん、朝から晩までこのような会話ばかりだと疲れます。しかし、会話の根底のスタンスとしてこのような姿勢を持っていたいと思っています。
こういった親の姿が、香澄娘の目に「日常の光景」として当たり前のように映っていることを願っています。
最後に
この記事では『世界で生きるチカラ 国際バカロレアが子どもたちを強くする』のあらすじと感想を紹介しました。
書籍の内容も去ることながら、国際バカロレアの教育理念が思っていたより革新的で、なかなかすぐに消化できないというのが正直なところです。
しかし、子どもを教育したいなら、まずは親が目指すべき姿になる必要があります。
このことを肝に命じて親としても、一人の人間としても努力していきたいと思います。
最後になりますが、この記事はこれまでの日本の学校教育を否定するものではありません。
明治初期の日本、戦後の日本など有無を言わさず国をまとめなければならなかった時代には、従来の日本の教育方法が有効だったのだと思います。実際、そういった教育のおかげで、日本が経済大国になれたとも思っています。
しかし、従来の日本の教育ではこれからの時代に対応できなくなった。
どちらが良い悪いということでなく、ただそれだけのことだと思います。
日本人としての良さを忘れることなく、香澄娘はもちろん伊奈香澄自身も(もちろん香澄妻も)、国際社会に貢献できる人間になりたいと思います。
この記事で紹介した書籍は、こちらから購入できます↓
|
ではまたのちほど。