夏。
四季のはっきりした日本において、最も気温が高くなる季節。
梅雨から夏に変わる直前、野尻湖ではある闘いが繰り広げられます。
それは野尻湖トライアスロン。
闘いといっても誰かと競うわけではありません。闘う相手は自分自身。
そこには、自分自身に勝った人だけが見られる景色があるのです。
この記事では2023年7月9日に、信濃町にある野尻湖で開催された野尻湖トライアスロンの様子をお伝えします。
2022年の野尻湖トライアスロンの記事はこちら↓
野尻湖トライアスロンの特徴は?
トライアスロンの豆知識
トライアスロンにはさまざまな種類(距離)があります。
長い方から順に並べると……
- アイアンマンディスタンス スイム:3.8km バイク:180km ラン:42.195km
- ロングディスタンス スイム:4km バイク:120km ラン:30km
- スタンダードディスタンス スイム:1.5km バイク:40km ラン:10km
大会によってはスタンダートディスタンスよりさらに短い距離のレースもありますが、基本はこの三種類です。
「トライアスロン」と聞くと鉄人レースという別名のように、アイアンマンディスタンスを想像するかもしれません。
しかし、一般人も含めてもっとも競技人口が多いのはスタンダードディスタンスでしょう。
野尻湖トライアスロンの距離
ただ、コースの都合で上記通りの距離にならない大会もあります。
野尻湖トライアスロンではスイム:1.5km、バイク:45km、ラン:11kmとスタンダードディスタンスを基準に、少しだけ距離が長くなっています。
また、トライアスロンのコースに指定されるのはアップダウンの少ないフラットなコースが普通。
しかし、野尻湖トライアスロンはバイクもランもアップダウンのあるコースなのです(スイムはさすがに平坦)。
実は2016年〜2019年まで合計4回野尻湖トライアスロンに出場した経験のある伊奈香澄。
次の章からはスタート前の準備、スイム、バイクそしてランのそれぞれの魅力を、大会当日の写真とともにお伝えします。
やることが盛りだくさんのレース準備
はじめにお伝えするのはレーススタート前の様子。
レース開始が8:20、トランジションと呼ばれるバイクなどを置くスペースのオープンが6:40です。
しかもトランジションは8:00には閉まるため、それまでに準備やウォーミングアップをする必要があります。
7:00頃の様子がこちら↓
まだトランジションがオープンしてすぐの時間に、これだけ多くの人が準備をはじめていました。
それもそのはず。このあと、7:20にスイムゲートがオープンして40分だけ試泳ができるのです。
トライアスロンは自然の中で開催されるため、同じ大会であっても年によってコンディションが異なります。
水温、波の高さ、風の強さ、目標とするブイの見え方などを確認するため、必ず試泳をすることをオススメします。
試泳の様子はこちら↓
写真撮影時にはまだ人数は少ないですが、試泳をする人が多くいました。
ライフセーバーもSUPに乗ってスタンバイしています↓
このようにトライアスロンの大会ではライフセーバーが湖上(海上)に配置され、体調の悪い選手を助けたり、コースから外れて泳ぐ選手に声をかけたりします。
ちなみに上の写真を見て、スイムのコースが分かりますか?
野尻湖トライアスロンではスイムコースは三角形になっています。三角形の角の一つが、奥のオレンジのブイです。
手前の黄色のブイを頼りに、できるだけまっすぐ泳ぎたいところですが、これがなかなか難しい……。
そのため、トライアスロンのスイムでは速く泳ぐことより、まずはまっすぐ泳ぐことが大切だといわれています。
試泳のときにブイの見え方、つまりクロールをしながら頭をあげて(ヘッドアップ)ブイを見たときにどのように見えるか確認しましょう。
ボルテージが湧き上がる開会式
レースの準備が終わり、スイムゲートやトランジションがクローズすると開会式が行われました。
信濃町長である鈴木文雄さんの挨拶が終わると、毎年恒例のコールが行われます。
そのときの様子がこちら↓
「オー!」と手をあげる選手からは、レースを完走してやるという気概が伝わってきます。
選手の立場で実際にやると、「いよいよレースがはじまる」というスイッチが入ります。
緊張がほぐれ、レースを走り切るという覚悟にかわり、周りにいる他の選手が仲間に見えてくるのです。
湖水の透明感を味わえるスイム
8:20、いよいよレースがスタート。長い旅のはじまりです↓
選手たちが水しぶきをあげながら一斉にスタートしていきます(実際は参加人数の都合で2グループにわかれています)。
ブイを目指して泳ぐ選手たち↓(陸からは選手の腕と頭しか見せません)
速い選手はしばらくすると二つ目のブイを折り返していました↓
そして一周目が終わると一度陸にあがって折返し↓(動画です、音が出ます。)
音楽は陽気な観覧者が勝手に流している……ではなく、大会運営側が流しているので安心してください(笑)
もう1周泳ぐと、次はいよいよバイクです。
アップダウンを繰り返すバイク
前述の通り、通常トライアスロンのコースはフラット(平坦)なもの。
しかし、野尻湖トライアスロンのコースはアップダウンの連続です!
あなたは登りと下りのどちらが好きですか?
登りはなかなかスピードが出せず、己との闘いになります。
下りは乗っているだけで勝手にバイクが進んでいきます。
これだけ聞くと下りの方が楽だと思うかもしれません。しかし、バイクに乗っているだけで40km/h以上の速度になる場所では、恐怖心に打ち勝つ必要があります。
その場所がこちら↓
この場所はバイクコースの中でもスピードが出やすい下りのカーブ。
ただ下るだけならまだいいのですが、最後にあるカーブがクセモノです。
カーブを意識しすぎてスピードを落とすと、下りの勢いを活かせません。
しかし、勢いが良すぎるとカーブの外側に突っ込みます。
現地にはこのようにカーブの外側にクッションが設置されていました↓
現地にいた審判の方にお話を聞くと、たまに突っ込む選手がいるそうです。
この場所を駆け抜ける選手を見てみましょう。
遠くから走ってきたかと思うと↓
すぐにカーブに差し掛かり↓
無事にカーブを通過していきました↓
臨場感を動画でもお楽しみください↓(写真とは別の選手です)
伊奈香澄も何度もバイクで走ったことのある場所ですが、何度走っても怖いと思う場所です。
しかも、この日は雨がときどき降って路面が濡れていました。当日、選手はいつもより怖かったと思います。
ちなみに野尻湖トライアスロンのバイクコースは一般道のため、普段は誰でも通行できます。
この下りカーブを走りたくなった人は、ぜびバイクを持って野尻湖へ!
(ヘルメットの装着、コントロールできる速度での走行など安全にバイクを楽しみましょう)
脚泣かせの陸橋を乗り越えるラン
スイム、バイクが終わったら最後に待っているのがラン。
野尻湖トライアスロンのランは通常のトライアスロンより1km距離が長いだけでなく、思わず泣きたくなるような場所があるのです。
それがこちら↓
コースの途中にバイクとランのクロスポイントがあり、バイクの通行を妨げないようにランの陸橋があります。
ただ、問題なのがその角度……。写真からもわかるように結構な角度がついています。
下から見上げるとこのような感じです↓
垂直の壁のように見えますね(笑)
実際に選手が走る様子を見てみましょう。
写真の選手はフォームを崩さず走って登っていましたが、こうするのはなかなか難しいもの。
伊奈香澄が過去に出場したときは、手すりを持ちながら歩いてなんとか登っていました……。
登りがあればもちろん下りもあります↓
下りで気をつけるのは転倒。ついた勢いのまま下ると転倒することがあります。
そのため多くの選手は写真のように、手すりを持って歩いて下っていました。
陸橋を下ると、ゴールまであと少し。
野尻湖の風景を楽しみながら、旅の終わりを満喫しましょう↓
厳しい陸橋を含む11kmのランを走り終えると、いよいよゴールです↓
実は、野尻湖トライアスロンでは同伴ゴールが可能。ゴール付近で待っている家族や友人と一緒にゴールテープを切れるのです。
写真の選手は奥さまと愛犬と一緒にゴール!
多少、タイムへの影響はあるものの微笑ましい演出だと思います。
ちなみに伊奈香澄は香澄妻と一緒にゴールしたことがあります(当時、香澄娘はまだ生まれておらず)。
長い旅の締めくくりを、大切な人と一緒に迎えられるのはいいですよね!
最後に
この記事では、野尻湖トライアスロンの様子をお伝えしました。
この大会には県内外の広い地域から参加者が集まります。冒頭の写真(アイキャッチ画像)を撮らせてくれた選手は、聞けば滋賀県から参加したとのことでした。
一度しかない夏。そのエネルギーを野尻湖トライアスロンにぶつけて、自らに挑戦してみませんか?
ではまたのちほど。