どうも、最近本を読むのがますます早くなっている伊奈香澄です。200ページくらいの本なら、一晩+朝活時間でほぼ読めてしまいます。
あなたは生活保護という制度を知っていますか?
この質問にはほとんどの人が「はい。」と答えるのではないでしょうか。福祉制度が充実した日本において、あらゆる制度から抜け落ちてしまった人を最後に受け止めるのが生活保護です。
あなたは自分自身が生活保護を利用するかもしれないと考えたことはありますか?
この質問に「はい。」と答える人は少ないのではないでしょうか。
しかし、長い人生を生きていると、どんなことがあるか分かりません。本人の努力ではどうしようもない理由で生活保護を利用することもあります。
また、生活保護は一部の貧困世帯が利用するものだと思っているかもしれませんが、最低限保証される金額を確認すると意外とそうでもないことが分かります。
今回は生活保護という制度を身近に感じさせてくれる本を紹介します。その本のタイトルは『プチ生活保護のススメ』です。
税金の控除もそうですが、日本の制度は自ら申請しないと利用できない制度が多いです。特にお金を受給するような制度はその傾向が顕著です。
この記事を読むことで、運命の分かれ道に立たされても、生きて帰って来られる知識を得ることができます。
あらすじ。
この本では生活保護についてあらゆる面から解説がされています。この本の一番良いところは、例え話やモデルケースを用いた金額の例が提示されるので、解説が分かりやすいとことです。
冒頭でも少し触れた生活保護の受給金額を例に取ると、複数のモデルケース(単身世帯、ひとり世帯、小さい子のいる世帯など)を想定して概算の受給金額を算出しています。
算出する際には計算結果を述べるだけでなく、その根拠や数式も書かれているので、考え方を学ぶことができます。(第2章に書かれています。)
実際に受給する際には各自治体にある社会福祉事務所に問い合わせることになりますが、概算金額を知るだけならこれで十分です。
受給金額以外の項目も分かりやすく解説してあります。この本の章構成は次のようになっています。
- 第1章 生活保護ってなに?
- 第2章 自分だったらいくらくらい貰えるの?
- 第3章 相談と申請について
- 第4章 受給後の生活
- 第5章 生活保護Q&A
第5章の生活保護Q&Aはさらに細かく分かれています。
- 申請について
- 稼働能力について
- 資産について
- 扶養義務について
- 保護費について
- 他法の活用について
- 世帯について
- 住居について
- 保護費について
- 受給後の生活
また、上記の目次にはありませんが、実際に生活保護を利用している人のインタビューもあります。
生活保護は最低限度の生活を送ることが困難になった人が、その状態から抜け出すための制度です。やむを得ない理由で生活保護を利用することになった時、この本はきっとあなたを助けてくれます。
伊奈家が生活保護を利用したらいくらもらえるのか?
この本を読んで受給金額の計算方法が分かったので、実際に計算してみました。
ただし、この本が出版されたのは2009年であり、金額の情報が古くなっている可能性があります。また、受給金額は居住地を含む様々な条件で変わりますが、この本では東京都の場合しか記載がありません。
そのため、下記のサイトを利用して伊奈香澄が住んでいる長野市で、実際に生活保護を利用した時の受給金額を計算しました。
このサイトでは居住地と家族全員の年齢の情報から生活保護の受給金額を計算することができます。本の内容と照らし合わせても、妥当な金額だったので、概算金額の計算という意味では信用できるサイトだと思います。
伊奈家は伊奈香澄、香澄妻、香澄娘の3人世帯です。伊奈家が長野市に生活保護を申請して、支給を許可されると最大で月額194,360円支給されます。
内訳は次のようになっています。
- 生活扶助 :137,170円
- 児童養育加算: 10,190円
- 住宅扶助 : 47,000円
このうち住宅扶助である47,000円は家賃に充てるお金です。この金額はあくまで上限なので、家賃が45,000円であればその金額しか支給されません。
また、収入があるとその分は減額されます。収入とは給与所得や事業所得だけでなく、生活保護以外の国からの給付金や、保険金など世帯に入ってくる全てのお金のことです。
香澄娘は2歳なので児童手当が月額15,000円支給されていますが、これも収入に含まれます。そのため、仮に伊奈香澄も香澄妻も働くことができず実際の収入がゼロの場合、生活扶助と児童養育加算の合計から児童手当を差し引いた月額132,360円を受給することができます。(家賃を除く)
生活保護はあくまで最低限度の生活を保証する制度なので、伊奈香澄がその後元気になって仮に月額50,000円の給与所得を得られるようになれば、その分受給できる金額は引き下げられます。(実際には控除があるので、給与所得分全てが減額というわけではありません。)
この金額を見てあなたはどう思いますか?
居住地にもよりますが親子3人で家賃込みで194,360円あれば、しっかり倹約すれば暮らしていけると思います。
それに親子3人でこのくらいの世帯収入の家庭は、コロナ禍で経済状況が悪化している今ならなおさら珍しくないと思います。
実際は生活保護を受給するには資産がほぼゼロであることが条件になります。しかし、受給額だけを見ると一般的な収入の家庭と比べてそれほど遠い世界の話ではないように思えます。
日本という国の最低限度の生活レベルが高いと見るか、一般的な家庭の収入が低いと見るかは人それぞれだと思います。
いずれにしても、いつやむを得ない理由で生活保護を利用する日が来るかもしれません。そんな時に、生活保護という制度はもちろんのこと、受給金額を概算でも知っていると不必要に不安になることはないと思います。
困った時に「困っている!」と言える社会にしよう。
こんなに素晴らしい社会福祉制度が整っている日本ですが、とても残念に思う点があります。それは困った時に「困っている!」と言いづらい社会であることです。それは生活保護受給者に向けた偏見があるからだと思います。
生活保護を受給していない人は、受給している人のことを「働かずに税金で暮らしている」と非難するかもしれません。受給している人はただでさえ恥ずかしい思いをしている上、社会から冷たい目で見られるかもしれません。
誰もがやむを得ない理由で困窮する可能性はあります。そして、日本国民である以上、生活保護を利用する権利は誰にでもあります。(税金や年金が未納の場合でも生活保護は受けられます。)
それに国は違いますが、ハリーポッターの著者であるJKローリングさんや、ケンタッキーの創業者であるカーネルサンダースさんも、かつては生活保護を受給していた期間があったそうです。
いつか生活保護への偏見がなくなり、安心して生活保護を利用し、そこから抜け出せる人が多くなる社会にしていきたいと思っています。
最後に。
今回は『プチ生活保護のススメ』という本を紹介しました。この本では生活保護という制度があらゆる面から分かりやすく解説されていました。そして、受給額をはじめ自分に置き換えて考えさせられることが多く書いてありました。
この本があなたの未来を明るくしてくれる日が来るかもしれません。
ではまたのちほど。