サラリーマンか フリーランスか 「どっちが得だった?」

信州人、本を読む。

どうも、毎週信州の温泉に入ってゆっくり休んでいる伊奈香澄です。信州に移住して一番良かったことは、毎週温泉に入れることです。オススメの温泉は、また今度このブログで紹介します。

あなたは持ち家派ですか?賃貸派ですか?

因みに伊奈香澄は賃貸派です。その理由は賃貸なら住む場所を自由に変えられることと、金利を払うことが嫌い(ローンを組むことが嫌い)だからです。

このように伊奈香澄が賃貸派である理由はトータルでどちらの方が得か?ということではありません。賃貸の場合は一生家賃が発生しますが、家賃が安い物件に引っ越せばトータルコストを下げることができます。

持ち家はローンの支払いが終わればコストが下がるように思えますが、毎年払う固定資産税以外に修繕費という発生時期も必要金額も予測不可能なコストがかかります。

このように持ち家vs賃貸論争は単純にトータルコストで比べられないという複雑さがあります。そのため、どちらが良いかは個人の考え方や価値観によって決まります。

似たような話としてサラリーマンvsフリーランス論争があります。収入が同じ場合(売上ではなくあくまで収入)、サラリーマンとフリーランスではどちらがお得か?という話です。これも家の話と同様に、単純にトータルコストでは比べられません。最終的には個人の考え方や価値観によって答えが変わります。

実はこの問題をお金とお金以外の両面から論じた本があります。

その本のタイトルは『サラリーマンか フリーランスか 「どちらが得だった?」』です。

あらずじ。

この本には2人の人物が登場します。

1人目は野口くん。野口くんはサラリーマンをしていますが、会社の給料に不満があるようです。収入を増やすために副業を始めようとしていますが、会社を辞めてフリーランスになるのは怖いと思っています。

2人目は渋沢さん。渋沢さんは野口くんの学生時代の先輩であり、フリーランスです。この本の中では、会社に不満はあるがフリーランスになるのが怖い野口くんの良き相談相手という役どころです。

この本は、渋沢さんが野口くんの疑問に答えたり、時には野口くんにフリーランスの厳しさを教えたり、さらに2人が壮絶な論争を繰り広げたりしながら物語が進んでいきます。

そうなんです!どちらが得か?という理由をただ淡々と並べるだけでなく、そこには2人が思う正義がぶつかり合って生まれる感情があります。

お金や働き方を扱った本で、ここまで感情が読み取れる本に初めて出会いました。

伊奈香澄は様々な本を読みますが、小説など登場人物がいる場合は、その人の声や話し方の設定が頭の中に出来あがります。しかし、小説以外の本でこういったことが起こったのはこの本が初めてです。

それほどこの本には人の心(筆者の心)が宿っているのだと思いました。

結局、サラリーマンとフリーランスはどちらが得なのか?

考え方や価値観の部分は人それぞれですので、ここでは単純なトータルコストについて触れたいと思います。

この本では年間収入が同じ500万円のサラリーマンとフリーランスではどちらが得か?という計算を行っています。詳細は本を見ていただくとして、ざっくりした結論としては、サラリーマンの方が現役時代の手取りが少ないが、老後にもらえる年金額はサラリーマンの方が多いという結論になっています。

しかし、これはあくまで計算のために設定されたモデルの場合であり、実際はケースバイケースとなります。(このことは本の中でも触れられています。)

サラリーマンの経費にあたる給与所得控除は、給与の金額により決まります。しかし、フリーランスの場合は売上が同じでも人によって経費の金額に幅があります。経費は自己申告だからです。そのため、申告すればするほど経費が多くなり、利益が減り、支払う税金が減ります。(もちろん節税の範囲の話です。脱税は犯罪です。)

その結果、フリーランスの手取りは増えます。

このように、単純なトータルコストでは比べられないのがサラリーマンvsフリーランス論争の難しいところです。

サラリーマンの正義1〜みんなそうだから〜

この本の中で野口くんは「上司の命令は間違っている」と思いながらも、それを是正することなく上司の命令に従って働いています。しかし、納得していないので、陰では上司の愚痴を言っています。

これに対して渋沢さんは「上司の命令に納得できないなら、転職するか独立するかだ。」と厳しいことを言います。

それに対する野口くんの反論は「みんなそうやって働いている。」です。

このやりとり、あなたはどう思いますか?

野口くんと渋沢さん、どちらの気持ちが分かりますか?

伊奈香澄は会社員なので、野口くんの言うことはよく分かります。しかし、渋沢さんの言うことが最もだと思います。

「働くなら納得してやれ。納得できないなら、自分が納得できる場所で働け。」

これはシンプルな考え方ですが、本当に厳しいです。

一方で野口くんがなぜ「みんなそうだから」と考えたのでしょうか?これはある考え方の弊害だと、伊奈香澄は思います。

例えば仕事で辛いことがあったとします。しかし、中には「みんな我慢して頑張っているから」と気持ちを切り替えて頑張れる人がいます。

このように「みんなそうだから」が良い意味ではたらけば、気持ちを切り替えて頑張るような良いことに繋がりますが、悪い意味ではたらけば野口くんのような考え方になるのだと思います。

「みんな納得していなくても働いている。」

「みんな問題を是正しない。」

「みんな上司の愚痴を言っている。」

…「だから自分もそうする。」

これは大多数の考え方かもしれませんが、決してそれが正しい訳ではないと、個人的には思います。

因みに伊奈香澄は「みんな我慢して頑張っている」という理由で頑張ろうとは思えないダメな人間です。「自分が辛いこと」と「他人が我慢して頑張っていること」に関連性があると思えないからです。

いくら他人が我慢して頑張っていても、自分が辛いと思う事実は変わりません。反対の立場でも同様です。辛いと思う人がいたら、他人を引き合いに出して頑張ることを強要するのでなく、まずはその人が辛いと思っていることを受け止められるような人間になりたいと思っています。

サラリーマンの正義2〜成功が保証されないならやらない〜

再び本の内容を少し紹介します。

渋沢さんがこんなエピソードを紹介しました。

「あるビジネスを始めたが、うまくいかない人(Aさん)がいました。そこでAさんはそのビジネスで既に成功している会社の社長に会いに行き、お金を払って1年間働かせてもらいました。」

この話を聞いて、あなたはどう思いますか?

Aさんは100万円を払ってでも、その社長のもとで働いて経験を積み、将来その何倍もの売上を上げられれば良いと考えたのです。

しかし、野口くんはこう答えます。

「結果が出る保証があるなら良いが、保証ないなら博打だ」と。

商売は生物(なまもの)なので、絶対はないと思っています。もちろん、見込みが全くないのに突き進むのは博打と言われても仕方ありません。しかし、ある程度の段階まで進むと、「やってみないと分からないが、腹を括ってやるしかない。」という場面に出くわすと思います。

そんな時になってまで「保証がないならやらない」と言っていたのでは何も出来ません。いや…、正確に言うと絶対失敗することがない代わりに、絶対成功することはありません。

人は日常生活の中でも、ある程度のリスクを取ってそれに見合ったメリットを得ています。例えば、「自動車を運転する」という行為は「事故を起こすかもしれない」というリスクと引き換えに「行きたい場所により早く到着する」というメリットを得ています。

「保証がないならやらない」という言うのは「自動車を運転すると事故を起こさないという保証がないので、私は絶対に運転しません。」と言っているのと同じことです。

(都市部ではこれでも通じるかもしれませんが、地方でこんなことを言っていては、文字通り生きていけません。)

「保証」という魔物に取り憑かれないよう、普段から自分の考え方を気にした方が良いかもしれません。

最後に。

この本では渋沢さんと野口くんのサラリーマンvsフリーランス論争が繰り広げられてり、それを読むことで自分の考え方や価値観を再確認することができます。

サラリーマンをしていると、どうしてもサラリーマンの正義が世の中の正義と思いがちです。しかし、時には一度立ち止まってサラリーマンの正義ではなく「自分の正義とは何か?」と考えてみても良いかもしれません。

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ではまたのちほど。

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