ときは2009年3月。新幹線のドアが開くと信州の冷たい空気が出迎えてくれた。
卒業研究の発表に疲れ果てた大学生は長野新幹線(現在は北陸新幹線)に乗り、大宮駅からの短い旅を終えたばかりであった。
「信州で思いっきり遊んで、この1年のストレスを発散する。」
そう意気込んでいる彼のとなりに友人はいない。
埼玉県の大学に通う彼には信州に知り合いもいない。
彼は1人で信州に来て、1人で思う存分信州を楽しむ。そんな旅を計画していたのだ。
今回は冒頭の雰囲気を変えてみました。どうも、伊奈香澄です。
冒頭の文章に登場する人物。誰のことか分かりましたか?
来週、信州に行こうとしているそこのあなたです!……と言いたいところですが、実は13年前の伊奈香澄です。
当時は埼玉県の大学に通う学生でした。何か嫌なことがあると新幹線で信州へひとっ飛び。
新幹線代はアルバイトで貯めたお金や両親からもらっていた仕送りでなんとか賄っていました。
そんな伊奈香澄が13年前から通っているのが、長野市のそば屋。
長野市のそば屋は市内各地に点在していますが、今回は長野駅から近く観光で信州に来た人が行きやすいお店を紹介します。
この記事を読めば長野駅で新幹線を降りるときには「今日は○○で信州そばを食べよう!」と決まっていることでしょう。
長野駅近くの信州そばのお店 オススメ3選
信州そばといえば戸隠が有名ですが、新幹線や高速バスで信州に遊びに来ると戸隠まで行くのもなかなか大変です。
(旧戸隠村は今では同じ長野市。……ですが車で30分の距離です。。)
そこで今回は長野市街地のうち長野駅に近い便利な場所にある信州そばのお店を3店紹介いたします。
そば処 小木曽製粉所
「そば処 小木曽製粉所」は長野県内を中心に展開されているチェーン店のそば屋。「丸亀うどん」の信州そばバージョンだと思ってもらえればわかりやすいです。
チェーン店といってもそばへのこだわりはさすがの「信州クオリティ」!自社で製粉したそば粉を丁寧にブレンドして作るそばは、とてもチェーン店の味とは思えません。しかも、小麦粉とそば粉の割合が2:8の「二八そば」に仕上げています。
スーパーなどで安いそばを食べた時「麺がぼそぼぉ切れるなぁ」「香りもまったくないなぁ」と思ったことはありませんか?その原因はそば粉の割合が少ないためです(商品によります)。
信州でそば屋に入るとほぼ間違いなく食べられるのが二八そば。あるいはつなぎを使わない「十割そば」を食べられるお店もあります。
一度二八そばの味や香りを覚えてしまうと、安いそばを食べられないかもしれません。。
そのような二八そばをリーズナブルに食べられるのが「そば処 小木曽製粉所」。
天ぷらはもちろんのこと、とろろや山賊焼き(鶏の一枚肉をにんにく醤油のタレに漬け込んであげたもの)などトッピングも豊富。
気軽に信州そばを味わうならこのお店がオススメです!長野駅前の店舗では夜になるとアルコールや居酒屋メニューも楽しめます。
信州戸隠そば味処 ぼっち
信州そばに詳しくなったあなた。本格的な戸隠そばを食べたいですよね?
しかし、車がないとなかなか戸隠へは行きづらいもの。(一応バスはありますが本数が1時間に1本&料金は片道1,350円。。)
そんなあなたにオススメなのが、長野駅前でサクッと戸隠そばが食べられる「信州戸隠そば味処 ぼっち」。
お店の名前である「ぼっち」の由来はおそらく戸隠そばの「ぼっち盛り」と呼ばれる盛り方から。こちらがぼっち盛りです↓
戸隠そばはこの盛り方と瑞々しさが特徴。そんな戸隠そばを長野駅までお手軽に楽しめます。
便利な場所にあるものの店主は旧戸隠村出身ですので、食べられるのは本格的な戸隠そば。ビールはもちろんのこと、信州の日本酒や焼酎のラインナップも豊富です。
純粋に戸隠そばの味を楽しみたい本格派の人から、夜にゆっくりお酒を飲みながら楽しみたいゆったり派の人まで満足できるのがこのお店の良いところです。
しかし、あまり大きなお店でないため週末は混んでいることがあります。開店時間は11:00〜14:00と17:30〜21:00(土日祝日)。
不定休のため、お店にいく場合は事前に電話した方で確認した方がいいと思います。また、土日祝日や連休は予約できないため注意が必要です。
そば亭 油や
最後に紹介するのは「そば亭 油や」。長野駅のロータリーからも見える一等地のビルの1階に入っています↓
「そば亭 あぶらや」の一番の魅力は観光客の人の気持ちになったメニューを前面に押し出しているところです。
たとえば、信州そばを食べたいと思っても多くの場合はざるそば(暖かいかけそばもあります)。しかし、他の味もほしいと思って天ぷらなどを付けると金額がやや高くなってしまうもの。また、人によっては「そばをいちいちつゆにつけるのが面倒」という人もいるかもしれません。
そのような人も楽しめる看板メニューが「戸隠おろしそば」と「飯綱おろしそば」。ぶっかけスタイルの冷たいそばですので、はじめからそばにつゆがかかっていて食べやすいのが特徴です。
「戸隠おろしそば」は大根おろしが、「飯綱おろしろそば」はとろろがかかっているので途中で「味変」することも可能。もちろんはじめから大根おろしやとろろと一緒に食べても、最後まで美味しく食べられます。
信州の日本酒や焼酎はもちろんのこと、信州のクラフトビールまで置いてあるのがこのお店のすごいところ!内装も落ち着いているので、旅先でしか味わえない「非日常感」を楽しめます。
オーソドックスな「そば亭 油や」を心ゆくまで堪能
「信州人は毎週信州そばを食べているんでしょ?」……と思っている人はいませんか?
中にはそばが好きでたまらなくて、本当に毎週食べている人もいるかもしれません。しかし、大抵の信州人はそうではないと思います。
「近いからいつでもお店に行ける」、「信州そば以外にも食べたいものがある(マ○クとか、笑)」と思っていると、気がつけば2〜3か月信州そばを食べてないこともよくあります!
また、中にはそばそのものがあまり好きではない信州人もいます。信州人ほど信州そばを食べないのかもしれません。。
伊奈香澄も今年(2022年)に信州そばを食べたのは3回ほど。そこで今回は久しぶりに「そば亭 油や」へ行ってみました。
子供連れにはありがたい個室
このお店のウリの一つが落ち着いた内装。そして子連れにはありがたい個室があるのです↓
中央の飛散防止パネルがやや大きいですが、家族であれば外しても何も言われません。
席についてそばを注文したらまずは乾杯しましょう↓
ちなみにりんごジュースは品種まで選べます↓
品種にこだわって飲みたい人や「利きりんごジュース」をしたい人にオススメです!(笑)
看板メニュー① 戸隠おろしそば&ミニ天丼のセット
はじめに紹介するのは戸隠おろしそばとミニ天丼のセットです。
ゆつに浸ったそば、香ばしいのりと天かす、雪のように真っ白な大根おろしの上にはなめこがちょこんと乗っかっています。そばは太すぎす食べやすい太さ。それにもかかわらずぼそぼそと切れることなく、しっかりした歯ごたえが楽しめるのはさすが信州そば!
大根おろしはあたかも苦味という言葉をしらないかのような味。この大根が生まれてはじめて覚えた言葉は「瑞々しさ」かもしれません。
サクサクして香ばしい天かすはのりと一緒になってそばを盛り上げています。そしてちょこんと乗っかったなめこは、信州の名産品がきのこで良かったと改めて思わせてくれる味です。
お店のオススメの食べ方にしたがえば、はじめに全体をまぜて食べるのが正解。しかし、食べ方はあなたの自由。はじめはそばだけ食べて、途中から天かすや大根おろしと混ぜても美味しく食べられます。
サイズはミニですが、味は特大の天丼もお忘れなく。
あまい天つゆが染み込んだ柔らかい衣。適度な柔らかさと歯ごたえが楽しめる海老、いか、なす。同じくたれがかかったご飯と一緒に食べると、口の中はこの世の極楽です。たまにさっぱりした野沢菜の漬物を食べれば、最後まで飽きることなく食べられます。
看板メニュー② 飯綱おろしそば&ミニヒレ丼のセット
次に紹介するのは飯綱おろしそばとミニヒレ丼のセットです。
そばやつゆはもちろん戸隠おろしそばと同じもの。大根おろしや天かす、のりの代わりにとろろとしょうがが乗っているのが特徴。
とろろはまったく引っかかることなく、するすると口の中には入ってきます。雑味がなく純粋にとろろの味を楽しめるのが素晴らしいところ。素材の味が楽しめるそばと合わさって最高のとろろそばを作り上げているのです。
戸隠おろしそばとは違った雰囲気が楽しめるので、家族やグループで行ったときには2種類頼んでシェアするとより楽しめます。もちろん両方のそばは単品でも注文可能。また、セットのミニ丼の組み合わせも自由に選べます。
柔らかくて誰もが食べやすいミニヒレ丼は最高。
薄くスライスされており、スジもほとんど感じないヒレ肉。おそらく歯の弱い方でも楽しめると思います。
天丼よりは辛めにつくられたタレがヒレ肉とご飯に染み込んでいるので食欲が出ます。しかし、サイズはあくまでもミニ。ヘルシーにお肉を楽しめる丼です。
ちなみにまだそばを食べられない香澄娘はミニ天丼とミニヒレ丼のおすそ分けをもらい、そして大好きなチーズがかかったポテトを美味しそうに頬張っていました!
「そば亭 油や」の上にある「宴席 油や」とは?
実は2か所ある「油や」。今回行ったのは1階にある「そば亭 油や」ですが、同じビルの9階にあるのが「宴席 油や」。
名前の通りそば屋というよりは宴会もできる居酒屋ですが、雰囲気の良さは「そば亭 油や」以上。また、高い建物が少ない長野県でなかなか見られない貴重な景色を一望できるのも特徴です↓
すべての部屋が個室になっており、予約すれば2名から利用できます。しかも、窓際の部屋からは長野駅前の景色が見られるのでオススメ。普段行く長野駅の違った一面が楽しめます。
最大80名まで対応可能な部屋もありますが、その部屋からは景色は見えませんので悪しからず(数年前に会社の忘年会で行きました)。
この写真を撮ったのは妹家族とご飯を食べたとき。わんぱくな甥が「食後の楽しみ(?)」であるかのように自然な手付きで、電車のおもちゃを鞄から取り出して遊び始めたのです。このときばかりは「本当に個室を予約して良かった。。」と心から思いました(笑)
最後に
本場の近くに住んでいると、なかなか行かないもの。
大阪府民が毎日たこやきを食べないのと同じように、奈良県民がみんな鹿を飼っていないのと同じように、信州人が信州そばを食べる頻度はあまり多くないかもしれません。
しかし、多くないからこそ毎回フレッシュな気持ちで信州そばを食べられます。(実際熱心な信州ファンである県外在住者の方が信州そばを多く食べているかも)。
今後も美味しいそば屋を発見したらこのブログで紹介していきます。信州に遊びに来られるようになるまではこちらのそばを楽しんでください↓
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ではまたのちほど。